以下雑感
聖女と呼ばれたジャンヌダルクの、英雄的活躍を下敷きにした物語なのだが、その当人を「明らかに精神のバランスを欠いた狂信者」として描いているのが面白い。
金切り声を上げながら馬に乗って走り回るミラ・ジョヴォヴィッチは、本当にこんな感じだったのかもしれない…と思わせる迫真の演技。あんな風だと神懸かり的に見えただろうな。
「オルレアンの乙女」という愛称は知っていたが、まさか本当にオルレアン以外で特に活躍していないとは思っていなかった。
ダスティン・ホフマン演じる心の声(?)の一連のシーンは、どことなくフランスらしいエスプリが効いてて面白い。(特に剣のシーンなんてほとんどブラックコメディ)
リュックベッソン監督は、ジャンヌを"神の啓示を受けたわけではない普通の少女"として描きたかったらしく、「良心との対話によって、己を偽っていた部分が剥がされてゆく」あたりの演出も、独特のシュールな空気感が漂っていた。
彼女の金髪が、捕虜になったあたりから黒くなってゆく(ように見えた)のも、一気に魔法が解けたようで良い。
あと衣装がいちいちかっこよかった。
宮廷の面々のゴージャスな服も、教会の人間のパープル衣装も、ジルドレ達の無骨な鎧姿も、良い感じに大作映画感のある凝った作りになっていて最高。
フランスのチームカラーの"ブルー地に金の百合の紋章"もいっぱい見れたし、雰囲気は抜群。