へちまびと

第9地区のへちまびとのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
3.0
目的のわからん宇宙船がヨハネスブルク上空で係留されたまま動かなくなり、その状態で支配層エイリアンが謎の全滅を遂げてしまう。

支配層エイリアンの指示なしには動けない下層民エイリアンは地球を侵略するでもなく、かといって出ていくでもなく、難民として第9地区に隔離されたまま宙ぶらりんの状態で今日もその日暮らしを続けている……という珍しい設定のSF。

冒頭ドキュメンタリー調で描写されるシーンで「エイリアンどもは出て行け!」と怒る市民の映像が流れるが、実はこれ「エイリアン(よそ者)」にマジで怒ってるオッサンオバハンの映像で、そのための役者を使ってない。低予算映画的な工夫がうまい。

さらに、元々この映画はHaloというゲームを映画化しようとして盛大に企画がポシャった際に残った予算と映像データを一部下敷きにしているらしい。

HaloといえばFPSシューティングの名作だが本作とは世界観が似ても似つかない。
よくもまあここまでうまくまとめ直してちゃんとSF映画に仕立て直したなと感心するばっかりだ。

支配層が死亡した巨大宇宙船は、座礁したHalo映画の企画を表していて、難民エイリアンはこの映画のスタッフたちなのかなぁとか考えたが、これは監督がかつて自作していた短編映画を長編化したものらしい。

監督にとって企画の座礁はピンチであったと共に、温めていた自分の表現を実現するまたとないチャンスとなったわけだ。

チャンスはいつ巡ってくるかわからない。自分の目の前に転がり込んできた時、モノにするための握力は常に磨いておく必要があると教えてくれる話だ。

全然映画のレビューではないな。
結末以外は割と好きです。