kmiw

チョコレートのkmiwのレビュー・感想・評価

チョコレート(2001年製作の映画)
4.5
チョコレートという耳馴染みの良い邦題は、白人と付き合う黒人女性を指す隠語だそうな。
原題のモンスターボウルでは確かに日本ではさっぱり伝わらないだろう。
チョコレートは作品の中でも印象に残る使われかたをしており、なかなか考えたタイトルだと思う。
内容は重く、静かに進行する。ハル・ベリー演ずる黒人女性とビリー・ボブ・ソーントン演ずる白人男性の、欠けてしまった部分を互いに塗りつけて埋めていくような交わりは高揚感なく、こちらとしては不安定さを感じながら眺めるのみである。
ラストは静かな怒りや戸惑いが全体を覆い、作中一番の緊迫感あるシーンだった。別の選択もあったのか。彼女は受け入れたが諦めと疲労が全身からにじんでいた。
それでも互いに相手と出会い、喜びもあるのかな。この先に晴々とした幸福な人生というのはあるだろうか。
意外に人は回復力あるけどね。
人種差別が基調の映画ではあるが、失ったものをもて余し戸惑う人の有り様を描くという普遍的なテーマを持ったドラマでもあるので、誰が観ても余韻が残るだろう。
kmiw

kmiw