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青いドレスの女のCookieMonsterのレビュー・感想・評価

青いドレスの女(1995年製作の映画)
3.4
失業中の男が仕事欲しさに請け負った女探しをキッカケに市長選という大きな思惑に巻き込まれていくフィルムノワール

黒人差別が時代背景かと思ったら主要テーマ
黒人であることを理由に失業した男が差別が要因となって逃げた女を探す
タイトルの青いドレスの青は黒でも白でもないハーフである女の出自を示しながら、すべてを隠そうとする宵闇の青にも通じているように思う
殺人も人探しもすべては夜に人知れず起こる
その中で青いドレスの幻影がひらひらと揺れながら現れては消えるようなイメージ

黒人であることの重さは市長選のスキャンダルによく表れていて、黒人と付き合うことは政敵の小児愛と同等に扱われる
様々な入り口が分かれていた往時の、現在とは異なる差別の酷さが物語の根幹を成していて、それはカネの力でもコントロールできないものとして描かれる

ラスト、友人と酒を飲み、世間話をしながら事件を忘れ、日常に溶け込んでいく様は現実と同じで、差別はいつも近くにあり続けるのに、その存在を忘れているだけだという警句に近い
そこで黒と白のドミノゲームを繰り返している彼らのかりそめの平和がやけに重い

人殺しの重さもいまとは違う描写が多く、時代がかっていた
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