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てんやわんやのpapandaのレビュー・感想・評価

てんやわんや(1950年製作の映画)
3.5
伊福部先生の松竹映画の音楽は珍しい。
戦後5年だと東京と四国との距離感ってかなりあったんだろうな。「東京物語」で老夫婦が上京するのに大旅行だったように。戦後のゴタゴタの東京となんかのんびりしている愛媛の対比が面白い。祭の様子とか客人のもてなし方とかも興味深い。人がよくて気弱で真面目な青年が四国独立運動などの騒動に巻き込まれてあたふたする物語で、それ自体はそこそこだけど、個性(アク)の強いキャラクターばかりで面白く見られた。志村喬さんのタヌキぶり。淡島千景さんのハツラツぶりがいい。
オープニングやクライマックスの祭りの音楽はあのメロディー。「ゴジラ」の神楽と同じ旋律。でも今回は祭ではち切れる人々のエネルギーの音楽だった。伊福部先生の重厚さが時にはミスマッチに感じたけど、こういう庶民派喜劇映画にも音楽を当てていたのかと興味深い。キャバレーとかダンスのシーンとかの音楽では、伊福部先生はどのくらい関わっていたのだろう。他の映画では有名な曲でも全体のバランスを取るためにアレンジなさっていたそうだから、この映画でもきっとそうだったんだろうと思う。
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