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ポイズンのnyakoのレビュー・感想・評価

ポイズン(1991年製作の映画)
3.8
トッド・ヘインズの長編デビュー作。

3つの短編が交互に進行する(ザッピング)のだけど、それぞれのトーンが全く違うため、どの話かは観ているとわかる。
わたしには難しいところもあった…でも映像が実験的だったり、クラシックだったり面白い。

Horrorは50年代クラシックなホラー映画を思わせる恐怖演出でモノクロ映像なのだけど、恐怖を忍ばせる影の使い方が見事だった。
実験のミスから伝染病を患った医師が病を伝染させる殺人鬼へ変貌し、苦悩する姿が描かれる。
このエピソードがいちばん好み。

Homoは監獄の中の話なので青っぽいダークトーンだけど、挿入されるシーンかカラーとなり、宗教画を観ているかのような美しさがあった。

Heroはインタビューを交えたドキュメンタリータッチのカラー作品となっていて、母に暴力をふるった父親を射殺した少年のはなし。
インタビューで母が少年は窓から飛び降りるも空へと消えて行ったと言い、とても不思議な印象を残す。

タイトルインの前の映像。
物に触れたいという衝動を止められないというように、部屋の数々の物に次々触り続ける手のアップが続く。これがとてもフェティッシュな雰囲気で惹きつけられた!

この作品にはケリー・ライカートが美術スタッフの一人、そしてちょい役出演してたりする。
後にライカート監督作品の多くをトッド・ヘインズがプロデュースすることになる。
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