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舞妓と暗殺者のisopieのレビュー・感想・評価

舞妓と暗殺者(1963年製作の映画)
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特集/映画監督 三隅研次

製作時からちょうど百年前の恋と革命の青春。松竹から借りてきた津川雅彦の時代劇が板についてない感じは、役の青さと未熟さによく合っている。かわいい舞妓の高田美和(これがデビュー作)もぴったり。貧苦にあえぐ彼女の家の描写、姉の高田にちらりと目をやって無言で機を織る妹が印象的。

斬り合いの斬殺音、津川が山本耕一を剣のひと突きで仕留めた瞬間、(噴水のように聴こえる)血飛沫の効果音は『椿三十郎』ショックの大きさを物語る。二線級キャストの小品にもかかわらず、津川雅彦と高田美和が語らう月光の下の小川のせせらぎ(クレーンを使った長回し)、観音寺を仰ぎ見る坂道はスタジオに巨大なセットを組んでいる(美術・内藤昭)。

津川雅彦を匿う高田美和は風呂を浴びていたふりをして家捜しする討手をやり過ごす。ピンチのさいに素っ裸で立ちはだかる女の図は同じ新藤兼人脚本=三隅研次監督のコンビの『斬る』と同一。
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