こまち

マイ・プライベート・アイダホのこまちのレビュー・感想・評価

4.0
ナルコレプシーでストレスを感じると途端に眠ってしまう少年の荒んだ生活。

どれだけ無茶苦茶な母親だったとしても、彼にとっては眠ってしまった時に昔の母親と自分の姿を夢に見たり、切っても切れない、忘れられない存在で、その時の温もりにずっと縋っているようでもあった。

やさぐれている彼らも本気でこんな生活を望んでるわけではないだろうし、というかそれ以外に生き方がない、それしか知らない、それでもなんとか似たもの同士寄り集まって生きようとしてるんだよな、、と考えてしまう。

スコットがイタリアで恋に落ちると、一緒にきた友人よりも簡単に彼女を選び、アメリカに戻って次会った時にはすっかり遠い存在に様変わりしてるのがやるせない気持ちになった…
市長の息子だからいつでも戻る場所があり、経済的に困ることはないという余裕が彼にはいつもあって現実を見せつけられた感じ。あの最後の冷たい目が悲しかった。
とはいえ、それぞれに道があるんだろうと思わせられるラストが良かった。

彼らのつながりはそこまで柔なものだったのか…とか、家族や友人、環境、居場所、など自分をつなぐものを意識させられる。

あと、2人の圧倒的な美。
静止画ではなく演者が静止している映像をコマ割りにしたりユニークな描写もある。
重いテーマではありながら、所々映る美しい景色や夢や過去のシーンなど幻想的でもある作品だった。
こまち

こまち