すのもも

マイ・プライベート・アイダホのすのもものレビュー・感想・評価

4.3
Have a nice day.

とにかく余韻がすごい。地平線に切り取られたアイダホへと続く果てしない道が脳裏に浮かび、彼を想っては途方にくれてしまう。誰とどこを歩き誰と眠っているのか、1日を思い返した時にどうか良い1日であってほしい。マイクとリバーが重なりなんとも言えない気持ちになる。

若かりしキアヌと今は亡きリバー。プライベートでも仲が良かったこの2人の共演がもう見ることができないのが本当に悲しい。
良家の息子スコットと、急激な深い眠りに落ちるナルコプレシーという病気を持つマイク。帰る家がありながら親への反抗精神から男娼をするスコットとは対照的に、親から捨てられたマイクはその日を生きるために身体を売り、眠りの中で夢に見る記憶にしか帰る場所がない。生まれも対照的な2人、交わることのないはずだった2人の歩む道がポートランドの街で交差する。

絵画的な美しい風景描写や独特の性描写。それ以上にリバーフェニックスの繊細で儚い演技が言葉にできない程に美しい。今にも壊れそうになりながら理性に反して溢れ出る想いをスコットに吐露する焚き火のシーンは切なすぎて息ができない、胸が張り裂けそうだった。

最後マイクを拾ったのは誰だったのか。知らない誰かなのか、兄なのか、それとも…。どうかスコットであって欲しいと願わんばかりのラスト。
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