都部

日本のいちばん長い日の都部のレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.2
ポツダム宣言を巡る日本軍の動乱を描く傑作。
戦争の時代を知る名優達による並々ならぬ熱度を放つ怪演もさることながら、岡本監督による脈々と葛藤が重なるドラマの卓越した舵の取り方は惚れ惚れとする。軍国主義の暴走と言えるクーデターを主とした後半部は屈指の出来。天皇の登場を契機としたOPの入り方からして格好良すぎる……。『シン・ゴジラ』の偉大なるオマージュ元として速度を感じる脚本なのが相俟って、前半のジリジリとフラストレーションが溜まっていく作劇部分も魅せるものがあり、だからこそ終盤の狂気が質量のある叫びとして顕現するのも見事。シンプルにレイアウトが美しくて、目を奪われるような場面ばかりなのも見所だよなぁ。狂騒劇として切り取りすぎなきらいもあるというのは頷けるが、降伏を強いられる陸軍将校達の心情を思えばそう過剰な物とは思えないし、並み居る名優の演技が虚構の強度を限りなく補強するという意味でも納得しかない。
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