あくまで映画というフィクションなので、終戦間際のゴタゴタと人の言動は事実とは言い切れないということは肝に銘じておくべき。とはいえ、筋書きはヨシ。ただ若干、陸軍悪玉論に寄ってる気がする。
ところで、俳優たちの演技が良いよね。脂汗が白黒ですら分かるという点と、多彩な表情を見せる顔という道具を用いた表現。現在のナヨっとして顔の綺麗さ(中性的な顔が今は好まれるのかな?)が重視される今では決して見ることができないであろう。今のイケメン俳優って言われる人たちが顔に脂汗をかきながら、顔を泣いたり笑ったりしてクシャッと潰すような演技をしてるイメージが湧かないもんね。
また、白黒映画というのも良い。これをカラーで撮ったら、あまりのチープさにおどろ木ももの木さんしょの木になることでしょうよ。カラーゆえに安っぽい、重厚感のない画になってしまうこと間違いなし。この点、現在の映画なんかは如何にカラーで細部に至るまで色彩豊かに撮るか(描くか)に腐心しているようで、全体として安っぽい画になってしまってることに監督等が気がついていないんじゃないか。画を綺麗にきれいにした結果、かえって非現実的ななんとも嘘くさ〜い画になってしまうという皮肉なのです。