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ハンナとその姉妹のakrutmのレビュー・感想・評価

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)
3.8
感謝祭のディナーパーティーに挟まれた2年間の、舞台女優をしているハンナと二人の妹の恋愛模様を描いた、ウディ・アレン監督のコメディドラマ映画。ウディ・アレン作品の中で興行的に成功した作品であり、ダイアン・ウィースト(ハンナの妹ホリー役)とマイケル・ケイン(ハンナの夫役)が第59回アカデミー助演女優・男優賞をそれぞれ受賞している。

ハンナの二人の妹であるホリーとリーの恋愛が独立したプロットとして描かれていく。ハンナの夫エリオットがホリーに好意を抱いて行動に移し、気難しい年上の画家との同棲生活に疲れていたホリーもそれに応じる。一方、オーディションに落ちてばかりの女優ホリーは、友人と立ち上げたケータリングサービスの仕事で知り合った建築士と付き合い始める。これらに並行して、ハンナの元夫で病気をいつも恐れている脚本家ミッキーのコミカルなシーンが描かれていくが、メイン・プロットとはそれほど絡まないので、ウディ・アレンが演じるいつもの面倒くさいキャラが嫌いな人でも楽しめるだろう。ミッキーが神の存在の証拠を求めて宗教を転々とするというシニカルな視点は、相変わらず冴えている。

この映画で面白いのは、ミア・ファロー演じる主役のハンナが直接描かれることはほとんどなく、妹たちや夫たちを通じて描かれる点にある。そして、その描き方はけっこう悪意に満ちている。この頃のウディ・アレンとミア・ファローの私生活での関係が暗黙のうちに反映されているのかもしれない。

カフェのシーンで、ホリーが着ていた襟に北九州市と書かれた法被のような服が面白い。
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