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ハンナとその姉妹のpicaruのレビュー・感想・評価

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)
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『ハンナとその姉妹』

我らが映画のおじいちゃん、ウディ・アレンの作品。
おじいちゃんといってもこの頃はまだオジサンです(笑)

ウディ・アレンの映画は『アニー・ホール』が一番好きなんだけど、『ハンナとその姉妹』も良すぎてツートップになった。

主人公の三姉妹はみんなかわいくて愛らしい。
相変わらずお茶目なウディ・アレンが彼女たちを引き立てる。

ウディ・アレン調のお話もおもしろくて、何度もクスッと笑ってしまった。
彼が演じた病気恐怖症の役はコメディ要素を独占してしまっていて、思い出しただけで笑えてくる(笑)
ヒューマンドラマ要素を盛り込んでも間延びせず、かといって変に力ませないのがいいんだよなぁ。

ニューヨーク大好きウディ・アレン。
本編ではニューヨークの街並みが効果的に使われている。
一度も行ったことのない街なのに懐かしさを感じるのは、アレンの愛着とフィルムの質感のせいかな。
(ウディ・アレンの『女と男の観覧車』を観たとき、「あの色合いを出せるのはフィルムだからだよ」とジェダイマスターに教えてもらったのです(*^^)v)

映画も終盤に差し掛かかり、たくさん笑って満足してこのまま終わるのかと思いきや、そうはさせてくれないアレン監督。

クライマックス。
人生に悩み、街をさまよったミッキー(アレン)が映画館へ入るシーン。
「日常を取り戻したかったんだ」と語り出す。
今、観たのがいけなかった。
外出自粛期間で映画館はどこも休館中の今、観たのがいけなかった。
自宅でできることを探し、工夫するような新しい生活が求められるけど、映画ファンにとっては映画館へ行くことこそ守るべき日常だった。
映画館へ入ったミッキーは、子どもの頃から観てきた映画を観るのだけど、ここからの長ゼリフが本当にすばらしくて泣きたくなった。(ぜひ観てほしいのであえて詳しく書かないよ。)
油断していた映画ファンの心を掴んで離さない。

コメディもドラマも器用に操るウディ・アレンおじいちゃん。
ありがとう!!
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