タヌキ殿下

鬼婆のタヌキ殿下のネタバレレビュー・内容・結末

鬼婆(1964年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

新藤兼人の映画って観たことあったかな?いや、ない気が。
CSでみたか??とりあえず1つ観とくか。

という流れで鑑賞。えぇ、凄まじい作品でした。
大人向け日本版フォークロア・ホラー。
まんが日本昔ばなしにやたら怖い話の回があるけど、あれをリアルにしたら、って内容。

とにかくオープニングからもってかれる。
「穴」
不意打ち食らって思わず笑ってしまうが、オープニングで掴んでくる映画に悪い映画はない。期待がグングン高まる。
時代背景、設定、人間関係、それぞれを淡々としつつも目が離せないカメラワークでつなぎながら人間の浅ましさと綻び、欲望をむき出しにしていく。

タイトルからして「鬼婆出てくるんだろうなぁ、この人がそうだろうなぁ」というのはわかるが、後半になるにつれてしっかり鬼婆に。
そして最後はきっちりホラー。

昔の作品、かつモノクロだから神妙な気持ちで観ればしっかり怖く、お酒を飲んでると「おい!こえーわ!」とツッコむこともできる。
ラストなんか「ちょいちょいちょい!怖い怖い怖いっ!・・・って終わるんかっ!!!」くらいバッサリ終わる。

妻「これ映画好きが集まった飲み会で流したらどうだろう(にやり)」
私「やめとけやめとけ!こんなの流してたらみんな気になって飲み会どころじゃねーわ!」

というくらいパンチの利いたよい作品だった。
とはいえ、時代背景や設定が「人間」という生き物の根源を表現するにベストなチョイス、また説得力もありそれを前半で存分に見せるためクライマックスにしっかり活きてくる。
役者も少なく、おそらく低予算ながら緻密に計算されており、素晴らしい。土着的な陰湿さと歴史には描かれない当時の姿。
リアリティとフィクションのバランスもたまらない。

でも万人には勧めない。おっぱい出てくるけど青少年にも勧めない。
ハードコア映画好き向けの1作。
タヌキ殿下

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