蛇らい

ルパン三世 ルパンVS複製人間の蛇らいのレビュー・感想・評価

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SF映画要素を全面に押し出し、ルパン三世の精神性にも踏み込んだ長編作品屈指の傑作。

マモーの本拠地にリベンジしに行こうとするルパンとそれを止める次元とのやり取り。
次「行くな!ルパン!」
ル「俺はぁ 夢ぇ盗まれたからな 取り返しにいかにゃあ」
次「夢ってのは 女のことか?」
ル「実際クラシックだよ お前ってやつぁ」

盗まれた「夢」と例えたのは不二子のことではなく、アイデンティティ。マモーにお前はコピーだと揺るがされたルパン。見捨ててしまえばそれこそコピーだ。不二子を見捨てないということこそがルパンの揺るぎない信念であり、証明になる。山田康雄節の唸る名シーンだ。ルパン三世という存在は、何を持ってもたらされているのかという根源的で核心に迫れる脚本の強さは他の作品と一線を画す。

メカニック監修、大塚康夫のメカのディテールのこだわりも言わずもがな素晴らしい。さらに、ルパンたちの泥棒キャリアを想起させるような身のこなしのクローズアップの多用、ここぞというときのキメのカットが渋すぎる芝山努のレイアウトにも注目。

スタジオミュージシャンということもあり、細かい参加作品一覧などの資料が見つからなかったが、大半の大野雄二ワークスに参加していたので、恐らく本作も?

トランペットプレイヤー、数原晋を偲んで。
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