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無宿 やどなしのgeminidoorsのレビュー・感想・評価

無宿 やどなし(1974年製作の映画)
2.5
座頭市の勝新が好きで、渡世人の健さんより"遙かなる山の呼び声"の彼が好きだ。
なので本作はずっと気にはなっていた。
なっていたのに今迄避けてきたのは何故だろう?
やはりこれまで観てきた邦画では二人の巨大スターが共演してロクな結果を感じなかったし、この二人の個性は火種と火種をぶつける様なもので、決して譲り合える程に各人に"器用な役者ではない"方達だからだ。

なんに於いても"器用ではない"ということは、良い意味では或る方向を"極める"力を発揮するだろう。
逆の意味では"全てが中途半端に終わってしまう恐れ"をも、含んでいたりするだろう。

本作は当時、東宝と大映の看板ふたりの共演、マドンナどころか女蠍として主役を張って集客出来る女優梶芽衣子。
私はある程度の"あまり期待しちゃいけない予見"を保ちながら、自らの映画配信サイトでの邦画初視聴に本作を選んでしまった。
(結局、期待していたのかも知れない…)(苦い笑)


結果、惨敗。
予想以上の惨敗!
わずかでもの点数は梶芽衣子の艶かしい着物姿&みずみずしく美しい裸体に捧げよう!
なんて綺麗な脚なんだ…
なんてバランスのとれたプロポーションなんだ…美しい!
海での彼女の泳ぐシーンは、つげ義春氏の劇画"海辺の叙景"を彷彿とさせ、一瞬だけは目玉の奥から吸い寄せられた。(然しストーリーを忘れて、でした。)


ある方もレビューで書いていたかと思うが、"冒険者たち""俺達に明日はない"等の逃避行話の行く末には凄まじい風が予見されるものだ。
私たち観る側は主人公たちの悲しい結末を感じ取りながらも、其の動向と刹那に固唾を飲みマナコ離せない…それが醍醐味。まさしく、そこが魅力!な筈なのだが…
本作はなんというのか…"置いてきぼり感たっぷり"で、でも私は冷めながら最後まで観た。

最後まで観たのは、勝新と健さんに申し訳ないから。
彼らはそんな存在なんだ。

もうそんな俳優は居ないし。
時代的にも出てこないだろうと思う。

或る厳しさは自分の為に必要だからさ、本作は"駄作"とハッキリ言ってしまおう。好き嫌いの問題ではないと思うな。

けれど、私はこれからも"永遠に"だ。
哀しくて格好よくて、勝新も、健さんも、ずっと好きなんだと思う。

"永遠に"って凄いよな。


ちなみに連続して観た前回のヘブンズドアと本作の宿無しは、何故か両作品共に"海へ"向かう。
違う意味で"死を抱えながら"。
たまたまのチョイスにしても奇遇だったな…
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