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天才ヴァイオリニストと消えた旋律のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

3.8
ティム・ロスが好きでチョイス。
御話には惹き込まれた。
前半2/3位までは画像色合いも美術もそこそこ良いし。
しかし何人もの御方が仰る通りに、むりくりな邦題は違うっしょ?
(ジーパン刑事風に言えばズバリ)
"なんじゃこりゃー!"だ。
(嗚呼こんなネタも今となっては通じる御仁も限定狭しかねェ…🎐)



最終場面での妻が明かした秘密には驚いたが、個人的にはそんなオチ等添えない脚本で勝負して欲しかったな。
それでも充分な作品に成った筈だから。

第一、あの告白に依りティム演じる彼は、考えてみたら二度も或意味の裏切り=絶望を味わう羽目になってしまうじゃないか…
そうゆう映画じゃないでしょ?
伝えたいのは・伝えるべくは、そこじゃないでしょ?
そう思うのですが…



原題の表す処の、あまりにも哀しい伝承。
歌=音楽による口述伝承。
それこそが作品の鍵でもあり、明かされた途端に観ている者は物語の淵に引き摺り込まれて浸るのだから。
その展開だけで、天才が消えた一度目の裏切りは赦される訳であり。

要素を増やして複雑にすれば話は必ずしも重厚に成るという訳じゃあない。
最後に"祈り"をもってきたい構成ならば、事実や行動に対して魂の震えがないとなあ…
この作品の売りはー失踪の種明かし&素晴らしく迫るヴァイオリン弦の響きーであるからして…
下世話なネタやオチは物語の威力を失速というか弱めてしまってないだろうか?
エンディング手前の夫婦会話辺りが、うーむ…残念賞でしかない。

最終局、眠れないティムの"ユダヤの祈り"場面の意味が変わってしまわない様に、誰かもう一度作り直しておくんなまし。
広い世代に向けて、後世まで伝えるべく、伸び代大な作品だとワタシゃ思うからサ!
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