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新学期・操行ゼロのHKのレビュー・感想・評価

新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)
3.3
あ、懐かしい。でも観るのは今回初ですが。
じゃあなんで懐かしいかというと、学生時代に当時公開中のこの映画のポスターがしばらく部室に貼ってあったのを憶えているから。
日本での公開は製作後40年以上経った1976年だそうで、私の地元ではそこからさらに数年後に公開されたものと思われます。

1933年の作品なのにその内容のせいで本国でも12年間公開禁止だったとか
“操行ゼロ”ってどういう意味?とずっと思ってましたが、ようやく意味が判明。
“日曜外出禁止”の懲罰のことだったんですね。
だったら邦題もそれでいいのに。

舞台はフランスの全寮制中学校。
主人公のイタズラ盛りの少年たちは新学期早々に“操行ゼロ”を言い渡され、学校側のがんじがらめの規則に対し自由を求めて反乱、いや革命を起こす話です。
今観るとなんということはないんですが、生徒の私物を盗む教師がいたり、生徒は皆タバコ吸ってたりと当時は問題だったんでしょう。

それよりもこのみずみずしくも実験的な表現の数々が90年前の作品というのが驚き。
スローモーションにアニメーションにスモークに画面全体に羽毛が舞う幻想的シーン。
男子寮のはずなのに女の子に見える性別不詳の生徒が混じっているはさすがフランス(?)
チャップリンのモノマネをする教師も出てきてチャップリンの偉大さもあらためて実感。

監督は4本の作品を残し29歳で亡くなった伝説のジャン・ヴィゴ。
名前は聞いたことあったけどこの作品の監督でしたか。
4本中で劇映画は本作と翌年製作の『アタラント号』のみ。
ヌーヴェルバーグの面々を初め数々の映画作家に影響を与えて敬愛されているとか。
『アタラント号』もアマプラで観れるようなので観てみよう。
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