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黒蘭の女のmのレビュー・感想・評価

黒蘭の女(1938年製作の映画)
2.0
ベティ・デイヴィス、ヘンリー・フォンダ主演の「女の業」系映画。

舞台は1850年代のアメリカ南部、ルイジアナ。ヒロインは気が強くてお転婆で、時代にそぐわぬ奔放な行為で周囲に波風を立てずにはいられない、常識外れのジェゼベル・ジュリー。ジュリーには銀行家の婚約者プレスがおり、彼を愛しているが、未婚女性は「白」と決まっている舞踏会に真っ赤なドレスを着て参加してしまう。これが決定打となってプレスを呆れさせ、婚約は解消。プレスは北部へ行ってしまう。しかしジュリーは「プレスは必ず戻ってくる、戻ってきたら謝罪して許してもらうわ」と考えていた。ところが南部に戻ってきたプレスは、貞淑かつ常識な北部女を妻にもらっていた。ジュリーはなんとしてでもプレスを取り返そうと画策するが、そこへ黄熱病の嵐が襲い掛かる。

物語がどうとか、名優の誉れ高いベティ・デイヴィス、ヘンリー・フォンダの演技がどうとか、「風と共に去りぬ」との比較とかよりも、1850年代のアメリカ南部の様子とか、黒人奴隷の取り扱い、男女の社会的役割の違い、南部と北部の考え方の違い、最悪の感染病である黄熱病の流行とそれに立ち向かう人々といった、当時の時代背景が興味深かかった。


映画の内容に関しては、黄熱病にかかったプレスの看病を妻とジュリーのどっちがやるかを決めるやり取りがあるが、その結末を見て「ああ、ジュリーはプレスを心から愛していたのね」と思うほど私は若くはない。

ジュリーにとってはプレスの看病をすることで自分の存在意義を確認し高めようという利己的な行為であろうと思う。さすがの妻も、ジュリーの「私がちゃんとした女だと証明するチャンスはもうこれしかない」という捨て身の迫力に負けたという展開。結局は「ジュリーが勝ったということなんだろう」と思うと同時に「これはキツイ運命になっちゃったな」と苦い気分にもなった。
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