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フォレスト・ガンプ/一期一会のryo0587のレビュー・感想・評価

3.5
映画観始めの学生時代に有名だからという理由で鑑賞以来15年ぶりの再見。ぼんやりした印象しか覚えてなかったのでほぼ初見。
良い映画とか小説を再見する醍醐味は鑑賞時の自身の実生活での経験値や境遇に応じて感じ取れるものが変わってくることだと思うんだけど、本作はその際たる一作。

学生の時より自分事として魅入ってしまったし、胸に迫るものがあった。

子供時代にギプスから解放されて走り出すあの象徴的なシーンを忘れていたなんて信じられない!

アメリカの近代史やカルチャー、政治、ビジネスについて知識も増えていたので細かいネタもより楽しめた。アップルのくだりは今回初めて気づいて笑った。

まだ気づいていないネタがあるんだろうな。そう考えると繰り返しの鑑賞が楽しみな作品。

ジェニーとの関係は一筋縄ではいかず、考えさせられてしまう。
彼女が結局戻ったのはフォレストを愛していたからなのか、それとも単に身持ちを崩して他に行く宛がなかったからなのか?
多分フォレストはその頃までに有名になっていたから経済的に成功していたことも、フォレストが無条件に助けてくれることも知っていただろう。
だとしたら彼の保護が目的だったのだろうか?
彼との一夜の後に何故彼女は去ったのか?仮に自身がもし不治の病にかからなかったとしたら、果たして彼女はフォレストに最後連絡を取ったのだろうか?結局困ったときに頼ってるだけじゃないか?

最後まで僕はジェニーのフォレストに対する真意がわからなかった、というか疑念を挟まずにはいられなかった。

そんなこちらの邪推もフォレストにとっては取るに足らないことみたいだ(劇中でもI don't careと言い放つ)

相手がどうかではなく、自分の気持ちに正直に純粋に一途に信じ抜くし愛し抜く。
その一途さ、純粋さに心を打たれたのかも知れない。

無論、こうしたフォレストの純粋性の源を彼の一種の知能遅れに求めている節があったり、彼の純粋さと行動力のおかげとはいえ割と簡単にリッチになり生活上の経済的な問題を彼の人生から排除してしまったり(3年も走ってられるのは彼が金持ちだからに他ならない)と、些か物事の単純化に過ぎる部分は否めない。

だけどトム・ハンクスの演技と瑞々しい映像、優しい音楽がそんな野暮なやっかみを消してくれるし、
目まぐるしく次から次へと様々な出来事や出逢いと別れか起きる一見複雑な人生(それこそフォレストの人生はイベントの連続だ)にあって本当に大切なことはごく単純なことなんだと訴えかけてくる(今回の鑑賞で少なくとも僕はそう受け取った)本作の人生讃歌は現代でも色褪せてはいないように思う。
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