このレビューはネタバレを含みます
「何故犯人を撃たなかった」
「両方とも救いたかった」
人質に銃を突きつける犯人。そこに対峙した刑事の藪池だが、何も行動を起こせず、犯人も人質も命を失う結果となってしまう。
休暇をもらった藪池はとある森に足を踏み入れるが、そこではカリスマという品種の一本の外来樹が周囲の生態系を蝕み、他の木々を枯らしていた。カリスマを守ろうとする者と、生態系を守ろうとする者との間でも争いが生じていた。
「両方とも生かす方法はないのでしょうか」
藪池は全ての存在が幸福になる共存共栄の道を模索していた。そしてやがて、一つの答えに辿り着く。それは”在るがまま”。各々が各々のやりたいようにすればいい。殺したければ殺し、生かしたければ生かす。ルールは要らない。取締る力も必要ない。
「世界の法則を回復せよ」
冒頭で藪池が受けたこのメッセージにある世界の法則とはつまり、このような法も権力もない、無秩序な原始的世界を指しているのではないか。
「お前がカリスマだ」
藪池は木の守り主にそう伝えられる。
最後のシーン、山から見下ろした街では火の手が上がっている。しかしそれは始まりにすぎない。藪池はカリスマになったのだ。世界に破滅をもたらす存在に。
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っていう感じでまとめてみました。
正直分からなすぎて、モヤモヤしまくったので、他の方の考察など参考にしつつ、自分なりに解釈して頑張ってスッキリさせました。
いやーしかし感想は人それぞれで解釈にも幅があって面白いですね。宗教の話だとか、文明の話だとか、独裁者の話だとか。単純明快な構成ではないことによって考察の余地が広がって、多様な解釈が生まれるんだなぁと。