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私は告白するのevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

私は告白する(1953年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【守秘義務】

モノトーンの絵葉書のように美しい風景はケベック。英語と仏語が交じる。

Keller夫妻は恐らくドイツ系移民で、大戦後間もないこの頃は、居場所を見つけるのが困難だったでしょう。教会の世話になっているというのも貧しさを裏付けます。その割にはきちんとした身なりだし、言うほど過酷な労働にも見えないのですが。

司祭が告解の内容を漏らした場合は教会法で罰せられるのだそう。「その時間はKellerの告解を聞いていた。もちろん内容は話せない。」くらい供述しても問題ないように思いますが、ダメなのでしょうかねぇ。嘘は付かないし、自分以外の人間が傷付かないように極力配慮するLoganの行動は、終始神の教えに忠実です。強い男は口が堅い!神を信じていれば、どんな困難も平然と受け止められるのか。しかしいよいよ逮捕かと、一人苦悩し続け(ショーウィンドウのスーツを見た時、変装・逃亡の考えが一瞬頭をよぎったか?)、冤罪でも民衆から白い目で見られて揉みくちゃにされるLoganは、まるでゴルゴタの丘を登るキリストの姿です。

『人を裁くことなかれ』
Loganは自らKellerを裁こうとはしません。
他方で、一度クロと睨めば一層黒くなるように解釈する刑事や、神父を好奇の眼差しに晒す人々は皆、真実を知ることなくLoganを裁きます。

Kellerは犯行時、神父のローブを着て変装しているのですが、初めからLoganに罪をなすりつけようとした訳ではないようでした。挑発するようにLoganに絡んでくる彼は、途中から悪魔そのものに見えてきます。恩を思いっきり仇で返してきました。それと刑事には、変装の可能性くらい思いつけよと言いたいものです。

被害者は悪徳弁護士、加害者はドイツ人。これが当時の無難な設定なのでしょう。
Tom Cruise似の神父の身を案じてハラハラしました。
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