LEONkei

結婚しようよのLEONkeiのレビュー・感想・評価

結婚しようよ(2007年製作の映画)
3.3
〝人間なんて、ラララ〜ララララ〜ラ♪〟

父〝香取卓〟52歳は、妻・2人の娘・犬を持つ平凡なサラリーマン。
この家庭にはたった1つ父が頑なに守り続けるルールがある。

それは〝晩ご飯は必ず家族全員で揃って食べること〟。
それは父の権威主義なのか、或は身勝手な理想家族の妄想か…本当の理由とは。

この映画は1つの家族を題材にした、甘ったるいベタなハートフルヒューマンコメディ。
現代にこんな家庭なんてあるはずもない。

それでも最後までしっかりと観れた理由はたった1つ。
全編を通し吉田拓郎の70年代の21曲の楽曲が使われているから。
映像が浮かび上がる情緒溢れる言葉使いと、誰もがココロの中に持っているであろう人間の情けなさ・悲しさ・虚しさ…

甘ったるい内容も吉田拓郎の楽曲によって深みが増し、父と娘の関係・夫婦の関係・夢への希望・挫折…それぞれの登場人物の背景と感情が曲によって引き立てられ増幅する。

夢は叶う事にこしたことはないが、夢を追い続けても誰しも叶う訳ではない。
残念ながら様々な理由で、諦めなくていけない決断を迫られる時が来る。
重要なのはその時どういう考えを持つかによって、その後の生き方に影響をもたらす。

それでも無駄だと分かっていて追い続けるのか…新たな夢を見つけるのか…誰かに夢を託すのか…
挫折しドン底に沈むのか…人生を諦めるのか…。

本編でも使われている吉田拓郎の曲に『人生を語らず』があるが、そもそも生きている過程の中で人生の結論を出す必要はない。

人間とは弱く脆いもので、虚しく誰もが悩み悲しみをココロの中に潜め生きている。
今は何ともなくても突然スイッチが〝カチッ〟と入るように、ちょっとしたきっかけで人間のココロは脆く崩れる。

それでも生き続けるのはなぜか?

その答えを見つけるのはそう難しくなく、シンプルに物事を考えてみればきっと理由が分かるはず。

1人が楽で好きな事も出来ていいなんて言うが、それは本当なのか?
ひとりよがりの虚しさを紛らわすだけの、自分自身への慰めではないのか…。

完璧な人間などいない。
1人より2人…2人より3人と…人との関係は面倒な事も多いが、その面倒など払拭するような素晴らしさが必ずあるものではないか。



こう言った映画が制作されると言う事は年齢的な温度差もあるかもしれませんが、もしかしたら口には出さないがベタでハートフルな映画を多くの人々は求めているのではないか…或は、たまにはこう言う映画で現実社会で疲弊したココロを洗浄するかのように、スッキリとした気分に浸りたいのではないでしょうか。

映画の内容は1.5点くらいの評価かもしれないですが、自分的にはベタでシンプルな物語に楽曲が絶妙に絡み合い様々な想いが脳裏をよぎり評価を加算…(u_u)
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