福福吉吉

新仁義なき戦いの福福吉吉のレビュー・感想・評価

新仁義なき戦い(1974年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
三好万亀夫(菅原文太)は広島県呉市の暴力団・山守組の組員であり、対立組織の組長襲撃したため、刑務所に収監されていた。三好が収監されている間に山守組が大きく成長したが、組内で組長・山守義雄(金子信雄)と若頭・青木尚武(若山富三郎)が対立していた。三好は出所後、両陣営から誘いを受けるのだが...。

◆感想◆
「仁義なき戦い」(1973年)から始まるシリーズの再始動の作品となっていて、内容としては第一作目と被るものの、登場人物の心情や性格などをより細かく描いたものになっていました。

主人公の三好万亀夫は刑務所に収容中から、所属する山守組の山守組長と若頭の青木より自分につくように説得工作されており、困惑します。三好は組織内の権力争いを良しとしない人物として描かれていて、出所後も組長と若頭の内紛に嫌気がさしているように見えました。

本作のキー・パーソンである青木尚武は露骨なまでに山守組長を引退させようと画策しており、私的には山守組長の性格に難があるため、最初は青木の方に気持ちが傾いていましたが、青木の手段を選ばないやり方に気持ちが離れていきました。

ストーリーとして山守組長と青木の間の内紛を描いていくとともに、三好がその間で自分の生き方を見極めていくものになっていて、山守組長と青木が三好を利用しようとする中で、三好がどちらにも積極的に動かない姿勢を貫いたことで、その存在が際立ったものになっていたように思います。

本作の面白みとして、登場人物たちが極めて狡猾で他者を利用して何かを成そうとする部分が強く、暴力団という組織の醜さをより感じる点にあると思います。権力争いは暴力団に関わらず、大きな組織では普遍的に発生するものですが、本作ではその欲望に対する露骨さが強く印象に残るものになっていました。

また、本作の時代背景が最初期に戻ったため、銃撃戦や暴力沙汰が頻繁に起こり、暴力的なシーンが多く描かれていて、観ていて変化があり、面白かった。

なかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2024年12月10日
鑑賞方法:U-NEXT
福福吉吉

福福吉吉