このレビューはネタバレを含みます
クリスマスの夜、毎年恒例のパーティーに向かう一家。約束の時間に遅れており、近道をしようといつもと違うルートを選んだところ、道に迷ってしまったのか行けども行けども目的地に辿り着かない。
時計が壊れ時間も分からず焦る中、道ばたに赤ん坊を抱いた女が現れる。どうやら事故に遭ったようで一家は警察に連絡しようとするが携帯は圏外で繋がらない。そこから奇妙なことが起こり始め…。
外灯1つない暗い夜道
灯りは車のヘッドライトだけ
すれ違う車もなく脇道もなく、「MARCOTT 」という標識が何度も出てくるが永遠に到着しない
最初に娘の恋人、次に息子が黒い車に連れ去られ、追いかけると路上に無惨な死体となって発見される
真相そのものには驚きはないし残酷なシーンも殆どないけれど、もうずっと車のヘッドライトしか灯りがない夜道はそれだけで不安になるし神経が消耗する。
赤ん坊を抱えた白い服の女、空の乳母車、家族を連れ去っていく黒いクラシックカー、MARCOTT への標識、オカルトな雰囲気すごく良い。
妊娠したものの恋人とは別れたい姉、家族に反発する弟、息子のむごたらしい遺体を目の当たりにして狂ってしまう母親、唐突に明かされていく家族それぞれの秘密、混乱し狂暴性を抑えられない父親……暗い夜道の中ずっと心が苦しい。
始まってすぐ、あ!『インシディアス』のエリーズ!!てなった、リン・シェイの怪演素晴らしかったです。
2003年の作品でスマホではなく携帯電話であるのがまた良い。スマホの懐中電灯機能やGPSは無いほうが絶対に良い。
エンドロールの最後の家族写真、一見クリスマスパーティーでの幸せな家族のようで、なぜか4人の視線があっちこっち向いていてバラバラな感じ、なんとなく気持ち悪い。
原題は『DEAD END 』
行き止まり、という意味だがタイトルバックでは「DEAD ꓷИ∃」とENDが反転している。
ENDが逆になることにより、永遠にMARCOTT に辿り着かない道を走り続ける車と、その不可解な現象の真相(真の行先)の両方を現す良いタイトル。だが、あまりにオチバレすぎるので邦題を『-lessレス』にしたのはアリだと思う。