愛憎入り乱れた、シニカルラブコメディ!
ベルイマンマラソン第4弾として、本作を選ぶことにしました。
ベルイマンにとっては珍しいラブコメディ、ひいては喜劇であるという点だけでなく、純粋に作品として観やすく、また20代の若造が観ても面白い内容でしたので、順番通りではないですが、先にレビューを書くに至りました。
本作の特徴として、傍から見た状況はドロドロな昼ドラ関係図になっていながらも、要所要所でコメディ描写が挟まれて重すぎない作りになっている点かと思います。
シリアスとコメディとのバランスが心地よく、確かに複雑な部分は多々ありますが、それ以上に理解していく楽しさはあると思います。
群像劇的にキャラクターたちが描かれていく中で、しっかりと収まるべきところに収まっていく気持ちよさたるや、本作を観た方なら分かって頂ける部分だと思います。
また、とある部屋のギミックは、強引ながら回収の仕方がドラマチックに見え、その点も良かったですね。
ただ、ウェルメイドなカタルシスのために心の機微が蔑ろにされている感覚も否めず、中盤までの人間の愚かさ、滑稽さが丸裸にされる面白さがあっただけに勿体なさを感じました。
あと、急なミュージカルシークエンスも全体を振り返った際に違和感を覚えました。
総じて、シリアスとコメディの程よくブレンドさせた、ベルイマンらしからぬ良作ラブコメでした!