安堵霊タラコフスキー

夏の夜は三たび微笑むの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)
4.0
一度は最初の15分程見て、他との違いにこんなのベルイマン作品じゃない!と視聴を切った作品だったけど、改めて見てみたら普通に面白くそれでいてベルイマン節もしっかり感じられる秀作で、今回見直してみて本当に良かった

プロディーサーに一般受けする話を作れと言われたためしょうがなくラブコメを作った感は確かにあるものの、男女の可笑しな関係をエスプリの効かせて描いた脚本もあってさながらルノワールの傑作ゲームの規則を見ているような気分にさせられ、それでいて長回しや陰影に富んだ映像等ベルイマン作品らしい演出や女の複雑な恋愛感情のような共通のテーマ性も随所に見られ、大衆向けに作っても自分の作風を捨て去らないベルイマンの映画作家としての根性を垣間見た

ところでウディ・アレンはベルイマン作品のファンを公言する監督の一人だが、このベルイマンの唯一作ったラブコメの要素を、ベルイマンが一度しか行わなかったが故に自身の作品に取り入れて反映させた節ももしかしたらあるのかもしれない