赤尾慎之介

ぼんちの赤尾慎之介のレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
3.7
年始の『炎上』に続く、市川崑×市川雷蔵作品。

足袋問屋の若旦那の放蕩を描いた作品だが、雷蔵演じる喜久治の女遊びにはギラギラとしたところがなく、むしろ弱さからフラフラと女にしなだれかかるといった風情を感じた。その弱さを品性で包んでいるので、見ていて嫌味がない。

原作者の山崎豊子は、この映画で描かれた喜久治にあまり納得が行っていないらしく、「市川昆の『ぼんち』であって自分の『ぼんち』ではない」と述べているみたいだけど、原作はまた違う趣きなのかな。

山田五十鈴、若尾文子、京マチ子、草笛光子、中村玉緒といった、雷蔵を取り巻く豪華な女優陣も見所のひとつ。『愛の讃歌』の越路吹雪って演技もするんだ!
赤尾慎之介

赤尾慎之介