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ぼんちのleylaのレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
3.9
2週間、邦画祭りします。スルーしてね。

市川崑監督作品。原作は山崎豊子で“原作と違うから”と撮影中止を申し入れたのだとか。映画としてはこれで面白かった。

船場(せんば)の老舗足袋屋「河内屋」の跡取り息子・喜久治(市川雷蔵)の女性遍歴と商人としての半生を描く。

何かというと河内屋のしきたりを持ち出す祖母と母の意地悪さと厳しさが、怖くて、いやらしい。婆ちゃん役、すごいわ~。

適役適所のキャスティング、市川雷蔵が品があり飄々としたぼんぼんがハマっててよかった。

妾役は若尾文子、京マチ子、草笛光子、越路吹雪と超ゴージャス。それぞれ個性が活かされ、着物の違いもお見事。

ただのダメなぼんぼんと思いきや、妾たちを平等に大切にし、戦時中には頼りがいのある男っぷりを見せる。ちゃんと、ぼんぼんから最後には「ぼんち」になってた。えぇ男や。

若尾文子、京マチ子、越路吹雪が3人で入浴するシーンは最高!それをのぞいた喜久治は、女のしたたかさを垣間見て“ただの肉体の塊にしか見えなかった。これで放蕩も終わりだ”と言わしめたシーン。

構図とライティングと美術の素晴らしさが際立ちます。死に際の紫の照明、あややのピンクの傘、空襲の焼け野原、暗闇に浮かぶ格子戸…キレッキレの映像でした。


📌MEMO

「ぼんち」とは、商家などの跡取りの呼び名で「ぼんぼん」とは異なり、放蕩を重ねてもぴしりと帳尻の合った遊び方ができる器の大きな者に与えられる愛称。(wikipediaより)
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