喜久治は、市川雷蔵自身か?と想像したくなる程嵌った船場老舗足袋屋五代目ぼんちの、戦前・戦中・戦後の波瀾万丈の人生を描いた市川崑監督の劇映画最高傑作。五稜さん祖母きの毛利菊江、母勢以山田五十鈴から船場の仕来り・家風に縛られ、妻弘子中村玉緒が跡取り息子を産むと離縁させられ、妾を芸者ぽん太若尾文子、仲居幾子草笛光子、カフェ女給比沙子越路吹雪、きのが見込んだ仲居お福京マチ子と変遷し、大阪大空襲で蔵を残して店は灰になるが、懐の10萬円を五等分し、きの、勢以、ぽん太、比沙子、お福に分け与えてぼんちの意地を示した。