ENDO

放浪記のENDOのレビュー・感想・評価

放浪記(1962年製作の映画)
4.2
高峰秀子の振り幅はすごい。この気怠さと清濁併せ持った感覚。原作者に寄せた外見。ゴンドラの唄。いのち短し恋せよ乙女。塵箱をぶちまけたような貧乏を披露するような散文。仕事を転々とする。まだ名前を彫られていない無縁の墓石に囲まれて佇む姿は此岸と彼岸の狭間で揺れ動き凄まじい。人を裏切り、裏切られ、才能に嫉妬した男に無残に棄てられる。仲谷昇との曖昧な訣別と宝田明から贈られる呪詛のような祝辞。画家の夫と連れ合い、小説家として書きまくる。辛酸を舐め尽くした彼女は弱者へ手を差し伸べることはしない。もっと努力せな。
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