かなり面白かった。話の内容はそれなりに陰惨と言えるけど、撮影と演出のコントロールがしっかりしているのでストレスを感じることなく楽しめる。子供が銃殺されたあとのリビングをフィックス長回しで収めたショットは本作の白眉。
縦長のサイコパスがテレビのリモコンで状況を文字通り「巻き戻す」くだりも、いわゆる「第四の壁」を越える演出を何回も積み重ねた後のことなので無理なく受け入れることができた。というか、メチャクチャ笑えますよねあのシーン。ある種の爽快感すら覚える。
本編はいい具合に楽しめたのだけど、この映画を観て「胸糞」「イラつく」「精神が疲弊する」「思ったほど後味が悪くない」みたいな紋切り型の感想を吐く人とはあまり仲良くできそうにない、と思った。その薄らぼんやりとした感性のあり方に寒々とした気分になるので。
