みやび

ファニーゲームのみやびのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.3
この映画を劇場で観た、という事実が未だに信じられない。素晴らしい作品だと思う。

これはもう、ただ不快感を与えるためだけに作られた映画だと言ってもいい。
本作は最近のアクション大作ものに多く見られる正義という名の暴力に爽快感を覚えている観る側の「暴力への無関心さ」を皮肉っている作品だ。
大抵のアクション映画作品には主人公とそれに対となる敵が存在する。
普段私たちは作品内で主人公が敵を倒すことで快感を感じているのだが、敵が傷つこうが死のうが、どんな倒され方をしようが「エンタメ」の一言で片付けてしまっている。
そこで本作は、観る側を煽る形で観客の暴力への無関心さを指摘している。
さらに、本作には直接的な暴力描写がない。音と声のみで表現され、肝心の暴力現場が映ることは無い。
想像してしまうことの罪悪感。
想像できてしまう自らへの恐怖。

ゲームには勝った方が正義という暗黙のルールがあるように思える。
私たちは2人の男と何にも変わらないのかもしれない。
暴力による勝利を楽しんでいるのだから。
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