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ファニーゲームのmylifeのレビュー・感想・評価

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
4.3
ほのかに気になってしまっていた「ファニーゲーム」を初鑑賞してみた。タイトルは聞いたコトがあるぐらいで、そう言えば今までに観て来なかった作品。

この手のジャンルは好きやけど何故かスルーしていた。何でかな。特に理由は無いんやけど、ただ単に縁がなかっただけかも知れない。

そういや、胸糞映画として有名やったっけ。そんなコトも、すっかり忘れていたので…気にせずに呑気に観ていた私。

監督はミヒャエル・ハネケ。監督作品は何一つ観ていなかったけど、いやはや独創的な感性を持ち合わせた監督だ。初めてなんで驚いちゃった。

オープニングのタイトルが出てきたトコロから狂っている。わざと見せ付けられた感じ。クラシックからヘビメタに曲調が変わるだけて、こうも嫌悪感が増すものかと逆に感心したり。

さてと、手袋をはめた白シャツ二人組が登場。まぁ、何となく察しがつくような展開。二人揃って白い手袋をしている時点で怪しさは相当なものなのだ。

フムム、胸糞映画と言われるシーンが出てきた。これはアカンやつやん。倫理観を問われる内容で、まともな感性で見るべき映画では無いと思うが…その後の長回しが凄くて思わず唸らされる。

ソコに長い時間を割くなんて…普通の感覚ではありえへんね。直接的なシーンは見せないのも敢えての狙いなのかな。打ちのめされたぐらいの哀しみが嫌と言う程に伝わってくる感じ。突き詰めた極限の様子が何ともリアリティ感を増す。

あと、斬新だと感じたのは…中盤ぐらいで、あの二人組が完全に消えるトコロ。普通のスリラーでは、こんな展開は見たコトが無いと思うので。

一安心させておいてからの再び絶望の淵に叩き落とすのか…はたまた、希望が見出だせるのか気になる展開。どのような行動を選択するかによって、その後の内容が変わりそうで観ているこちら側もハラハラさせる感じ。

だけど、一番の疑問が一つある。それは、テレビのリモコン。あれは何?どういうシステムなの。ってな具合で割りとポカーンとなる。

だが、思い出してみると、それまでもカメラ目線を意識したようなカットインが気にはなっていた。つまりは、なるべくしてなったと言うコトなのかな。と勝手ながらにも解釈してみたが真意はイマイチ分からへんけど。

とにかく、わざと不快にさせてくるタイプの作品。白シャツ二人のキャラや有利性を含め。だけど、かなり度合いで引き込まれてしまう結果となる…と言うよりも、単純に凄いものを見てしまったと言う感覚が残る。

ところで、アンナ役のスザンヌ・ロタールと言うヒトの演技にも驚かされる。二人と出会ったトキは強気な態度を装ってはいたが、こうも表情が変わるものかと。感情の起伏を描いた様はリアルそのものだとも感じた。
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