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網走番外地のakrutmのレビュー・感想・評価

網走番外地(1965年製作の映画)
3.9
網走刑務所を舞台に受刑者たちのいざこざや脱獄を描いた、石井輝男監督による網走番外地シリーズの第1作目となるドラマ映画。もともと二本立てのサブであったが、本作が興行的にヒットしたことで続編が次々と製作された。『日本侠客伝』シリーズや『昭和残侠伝』シリーズとともに、主演の高倉健をスターダムにのし上がた代表的なシリーズ作品。

高倉健という俳優を知るためには欠かせない作品なので、今更ながら初鑑賞。任侠映画に位置づけられるが、本作で描かれるのは(受刑前の回想シーンはあるけれど)網走刑務所での出来事なので、いわゆる任侠映画とはかなり違う。個人的には、刑務所内での人間関係などを描いた前半はあまり興味を持てなかったが、後半の脱獄シーン(特にトロッコのシーン)は楽しめた。

主人公の橘真一を演じる高倉健の存在感はさすがの一言。高倉健が朴訥に歌う主題歌も印象的。それ以外の脇役たち(特に、嵐寛寿郎とか丹波哲郎とか)も充実していて、映画としてはよく出来ている。そしてなんと言っても最果ての地での刑務所という寂寥感を醸し出すモノクロ映像が美しい。もともとはカラー作品として企画されたにも関わらず予算の都合で白黒になったらしいが、個人的には白黒にしたことが成功の一因だったのではないかと思う。全体として、満足できる映画だった。
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