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吸血鬼ゴケミドロのくりふのレビュー・感想・評価

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)
3.5
【モ、モザイクかけなくて大丈夫ですか?】

(今は亡き)銀座シネパトスの特集上映にて。宇宙人がとても効率悪い侵略を始めるお話。なかなか面白いトンデモ映画でしたが、いやんエッチな映画でもありました。

今なら間違いなく、吸血鬼は伝染性にしますよね。その方が人類滅亡効率よいし。そちらに走らず見た目の、死の衝撃を優先するところに時代を感じます。単純に、ネット時代以前なので、そういう発想がなかっただけかもしれませんが。

しかしなー、肝心の吸血鬼が、どんな強いやつかと思えば、血ぃ吸うだけ。あれなら簡単に逃げられるだろうし、武道の心得があれば、軽く撃退できそう。

なのに被害者は急接近を許した上、ひぃと叫ぶだけで簡単に吸われてしまうのは、やはり、いやよいやよも好きのうち、ということなのに違いありません。吸血鬼となる男の、変化する場所がですね、い、いやどう見ても…アレなんです。で、被害者がそれにウリウリ迫られる様が、自虐的な悦びに燃えているようで。そして女性がスナッチされても変化しないのは、もう持ってるから要らない!…ということなのに違いありません。

はじめは、『エイリアン』のフェイス・ハガーより10年も前に、日本で女性器恐怖症の実像化に挑戦していたのか!?と大袈裟に驚いてはみたのですが、何やら恐怖だけでは説明つかないんです。

でもって、さんざ暴れてコトが済んだら、スナッチされた恥ずかしい場所が、えッ、フフフフローバック…!? ああ何という、過激で即物的エロスなのか。そんな意味では大変、倒錯的に見応えのある作品なのでした。…私にとっては。

出演女優さんたちはみな、華があって素敵ですね。フォーマルビューティ・スッチーな佐藤友美さんがいちばんよかったです。でもスッチーなのに危機管理まるでダメ。CAと呼ばないとダメなんでしょうか。

金髪美人(死語)なキャッシィ・ホーランさんは、表情に愛嬌があってよかった。この方、当時のこれ系常連だったようで、深作監督の珍作SF『ガンマー3号』にも出てますが、どんな役だっけ? あっちでも言葉攻め差別されてたかな?

そして本作最大の謎は「え、徒歩で行けんの!?」でした。結局どこだったのあそこ?

しかし終盤で大きく広がる、荒涼とした心象と風景は素晴らしかった!侵略は効率悪いし、展開は半密室劇だし、とみていたので意外な視野拡大でした。効率悪さはああしてカバーするんですね。侵略予算、実はかなり潤沢だったのか。

<2010.1.27記>
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