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十二人の怒れる男のharuのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.5
それってあなたの感想ですよね?

少年が父親を殺した事件について、12人の陪審員が審議に入る。投票の結果、11人が有罪、1人が無罪。無罪を主張した8番陪審員は「一人の人間の命がかかっているのだから、議論し尽くそう」と言うが…

シドニー・ルメットの超有名作。
昔見ようと思ったらリメイク版でして、今回オリジナルをついに鑑賞しました。12人のオッサンたちが、蒸し暑い部屋の中でひたすら議論するだけの話なのに、めっちゃ面白い!さすが名作!
裁判で「これもう絶対有罪でしょ」的な空気が流れる中、たった一人無罪を主張する8番陪審員。他の陪審員たちから「空気読めや」とばかりに猛批判されますが、彼はその圧力に決して屈しないどころか、事件について疑問を投げかけ、次第に無罪に転じる人間が増えていく。最初はヘンリー・フォンダ以外、誰が誰だかわからなかったんですが、議論が進むにつれ他のメンバーも一人一人キャラがはっきりしてきます。例えば3番と10番は、当初どちらも声デカめのキレキャラで被ってるんですけど、後半では主義の違いが明確に。12人の中にモブがいないのが本作を面白くしてると思います。
終盤の逆転劇は痛快と言うより、モヤモヤ。同調圧力により有罪に投票した陪審員たちが無罪に転じるのも、結局同調圧力に他ならず、しかも真実は明らかにならないからです。大事なのは多数派に負けじと自分の意見を主張することではなく、多数派に影響されて「私もそう思う」と思い込まされないこと。そのためには考えることをやめず、自分の頭で判断したいと思いました。
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