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十二人の怒れる男のTのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.8
「スラムの人間は生まれながらの嘘つき」などと差別発言でわめく陪審員に対し、11人が席から1人立ち、2人立ち、背を向け、ナナメに座り直して抗議を示すシーンはとても舞台演劇的。

それに対して、すでに覆った証言や証拠を繰り返し提示して最後まで有罪を主張する陪審員を、残った全員がただ見つめるシーンでは、顔のアップとのカットバックを多用して実に映画的な演出にしています。

ワンシチュエーションの会話劇はどうやっても舞台くささが気になってしまうものですが、舞台演劇的な面白さと、映画的な面白さを見事に組み合わせた言わずもがなの名作映画だと改めて感じました。

再三にわたる注意にも関わらずヘイトスピーチを辞めない陪審員に抗議の態度を示すシーンがとても好きですが、現代だと隣の人がわかってくれなくてもネットで仲間を見つけてヘイトスピーチを繰り返してしまうのでしょうね。
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