すずきじみい

十二人の怒れる男のすずきじみいのネタバレレビュー・内容・結末

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

監督: シドニー・ルメット
脚本: レジナルド・ローズ

昔からよく題名を聞く洋画クラシックで、ワンシチュエーションの法廷劇の名作で、これを捻って「12人の〜」という作品が度々作られてるようだし、でも、幼稚な私には白黒のクラシック映画はちょっと退屈だしなぁ‥と縁がない予定だった。

でも、フォローさせていただいてる方のレビューを読んで、「やっぱりいいんだぁ‥‥」と、後押ししていただき、タイミングも合ってやっとこの名作を堪能しました。

いい脚本だなぁ‥‥と、それに尽きる。

一つの部屋の中で起きる数時間の物語という描写の中に、様々な人生の縮図を鮮やかに見せてくれる。
余計な物を差し引いた1時間30分の中に、
一瞬一瞬のセリフ、動作に人間性や人の心の中が緻密に表現されてる。

容疑者の犯行とする証拠の数々を陪審員達で注意深く検証した所、それらがほぼでっちあげと思える事が判明して、他の11人の陪審員が被告人の無罪に同意しても、めちゃくちゃな理屈を並べてガンとして、一人有罪を主張する、すぐ感情的になる男。
でも‥という
そこからの人間描写の上手さも本作が名作たる所以ではないだろうか。

心底悪い人はいないという着地点に
ヒューマニズムだなぁと、
やられた。

もし、シナリオ学校に通ってる時に観てたら、
脚本のお手本のマイベストワンになってただろうなぁ。

普段、誰からも必要とされず、意見も求められない、一人暮らしの孤独な老人。
その老人が証人として法廷に立ち、証言する事で、人々から注目される事が嬉しくて、事実ではなく大衆の望む証言をしてしまう。
というエピソードは、
どんな時代でも老人の孤独は同じなんだなぁと切なくて堪らなかった。

この名作を観る背中を押してくれたレビューを載せてくださったるいさん、ありがとうございました🙏