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十二人の怒れる男のhmzのネタバレレビュー・内容・結末

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

面白かった。
一つの部屋で議論しているだけの低予算映画なのだけれど、カメラワークと俳優陣の演技、画面からじわじわと漏れてくる温度と湿度を感じ、最後まで惹き込まれる。

観ている私たちは、何も知らず、発言権もない13人目としてこの部屋に入場する。
まっさらな状態で彼らの議論を聞きながら、少しずつ明かされる証拠をもとに、一緒に有罪か無罪か考えていくのも楽しい。

アメリカでは1700年代後半には陪審員制度が採用されていたらしい。
とはいえ、見知らぬ人間のために、見知らぬ人たちとここまで熱く議論できる人はなかなかいないだろう。
本来ならば、最初の投票で死刑が確定していたであろうあの少年、事実は藪の中だけれど、よく考えてくれる大人がいて本当に運が良かった。

名前のない、ほぼ素性も明かされない12人の男たちだけれど、一人一人の個性が本当に強く、セリフが少なくても、普段の暮らしぶりまで想像できてしまいそうだからすごい。
特におじいちゃんの陪審員が本当に聡明で、名探偵で素敵でした。

最後の最後まで有罪を主張していた男性は、なぜそこまで決めつけるのかと不思議だったのだが、殺された父親と自分を重ねていたのか、と気付いた時は胸が痛くなった。
息子と会えなくて、すごく寂しかったんですよね。
でも、最後には自分の中のわだかまりを傍にやって、冷静な判断を下せたこと、本当に良かったと思います。
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