櫻イミト

結婚行進曲の櫻イミトのレビュー・感想・評価

結婚行進曲(1928年製作の映画)
2.5
シュトロハイム監督が脚本・主演も兼ねて独立系プロダクションで制作。前編4時間半、後編4時間の大作だったが、上映に向けてプロダクションが半分以上をカットした(短縮編集を請け負ったのはジョセフ・フォン・スタンバーグ監督)。本作は前半の短縮版にあたる。ヒロイン役は「キング・コング」(1933)のフェイ・レイ。パート・カラー。

1914年 ウィーン。荒廃した貴族の長男で騎兵隊員のニッキー(シュトロハイム)は、夜は酒と女で過ごす放蕩息子だった。ある日パレードで警護を務めていると、見物客の中にいた美しい娘と目が合い心を奪われる。彼女はハーブ奏者のミッチー(フェイ・レイ)で、隣にはしつこくつきまとう肉屋のシャニーがいた。その時、儀式の銃声に驚いた馬が駆け出し、ミッチーを蹄にかけてしまう。入院したミッチーをニッキーが見舞ったことをきっかけに二人は恋に落ちていく。しかしニッキーの両親は、成金の足の不自由な娘を娶るべく縁談を進めていた。。。

残存するのが前編だけなので、話が悲劇に転じたところで終わり何とも物足りない気分になった。本作でのシュトロハイムは恋する青年将校を演じていて、いつもの悪辣なイメージは控えめ。リンゴの花咲く樹の下でのロマンスシーンは美しく、このままで済むはずがないと思いながら観ていたら、終盤で最低男の姿が現れて安心?した。それにしても、映画の半分以上がカットされているので気持ちの流れが唐突で、現状では露悪的な悲劇にしか見えない。この状態にして割と評価スコアが高いのは意外だ。

「クイーン・ケリー」(1929)のようにスチール構成で後編が作られるのを望みたいところだが、前編が現状のままでは実現は難しいだろうとも思う。
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