菩薩

恋人たちの菩薩のレビュー・感想・評価

恋人たち(1958年製作の映画)
4.0
男と女と車の映画。必然に彩られた男女に車が与えられれば、こうなる事は致し方無いのかも知れない。一瞬で冷める恋があれば一瞬で燃え上がる恋もある、ただそれだけの事。それでも理由を付けろと言うなら、月夜が二人を包み込み、朝が二人を急かしたから、とでも言うべきか。確かに私は幸せなのだろう、だが決して楽しくは無い。だから「ココデハナイドコカヘ ダレカワタシヲツレダシテ」と、その真摯なる欲求に身を任せるジャンヌ、二度大きく開かれる背中、重ねられる手、撫で付けられる髪、問答無用のジャンヌ・モローに美しさに溜め息が漏れる。絵に描いた「幸福」そのものからの解放、迷い込んだ鳥が窓から飛び立つように、不安げな笑みを浮かべながら彼女は偽りの自分を捨てる。
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