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蛇にピアスのmizukiのネタバレレビュー・内容・結末

蛇にピアス(2008年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

原作読んですぐ観た。めっちゃ小説のまま。

首を絞める・絞められると興奮する、という感情はそんなに理解できなかったのだけど、まあ色々想像してみた。痛めつける興奮って、最後「よしよし痛かったね〜」って救いの手を差し伸べるまでがセットなのでは?と思う。飴と鞭の原理。洗脳の原理。その人を所有できているという実感なのかな。そう考えると、異常でもないというか。ただこの方法だと最悪死んじゃうんだけど。これも全部ラストまでの伏線だったって、本読んで一日経って気づいた。
"好きな人の好きな人は好き"というマイスタンダードを元に考えると説明がついてしまう、このラスト。。たぶんアマを殺したのはシバさんで、何でそんなことしたかって言ったら、ルイの愛する人がアマで、シバさんはルイが愛するアマも愛していて、アマも'痛めつけると興奮する対象'だから……。痛めつけて、首を絞めすぎて、殺してしまった。愛の結果死んだことを、ルイもわかっているという…。とんでもない話だなあ。物語だからできること。最高。、、好きな人の好きなものって好きな人よりもっと好きになっちゃうよね……。高校の時好きだった人がエヴァ好きだって言うから2巡してたらその人よりエヴァ好きになっちゃったり、え〜そういうことじゃん。
アマを殺したシバさんを憎むどころか、愛するルイ。今目の前にいてくれて、自分をちゃんと見ていてくれる人に尽くす感覚。それが例え愛する人を殺した人でも。すごくわかるなあ。今が一番大事だから。


異常に見える愛って、異常に見えない愛と何が違うんだろう。異常、という結果なだけ。それをこんなにさらっとまとめてあるのは、確かに、芥川賞、頷ける…。
村上龍さんのあとがき付きの文庫本、お守りになった。'経験を重ねてしまったら書けない、"現実とのヒリヒリした距離感"がこの作品には詰まっている。わたしは、少年時代の生傷のようなヒリヒリした作品をいつも書きたいと思ってきたし、今もそう思っている。'という龍さんの言葉を読んで、泣いちゃった。また救われた。傷は、ない方がいいけど、どうせ傷アリなら、「その傷おかしくないよ」って言える人間でいたい。

「タトゥー入れたいんだ」と言ったときの反応で、人の性格というのはわかるんです。面白いよね。「タトゥーいいね!かっこいいじゃん」って言ってくれる人。タトゥーには興味はないけど、何かしたいと思うこと自体が素敵だと、私に興味を持ってくれて色々動機とか聞いてくれる人。私の人生には、後者の人間が大事。
男のためにタトゥーは入れない。でも男のためにタトゥーを入れない選択をすることはあるかもしれない。タトゥーって、仮に自分が失明したら見えなくなるもの。整形も一緒。自分のためにしたいことが、失明したら楽しめなくなるものにお金をかけて、痛い思いして耐えるのってどうなんだろうって最近思う(タトゥーめちゃくちゃ興味あるけど)。私の大事な人の愛だったら、私の目が見えなくなっても消えないと思う。痛い思いもする必要ない。タトゥーなんてなくても、愛の証明はできると考えたら、やっぱり男のためにタトゥーを入れる必要はない。私がタトゥーを入れたいのは、自分が自分のことを大事にできているという証明のためだとつくづく思う。自分を信仰している証。一人で生きていくための、お守り。どうせなら、多色で美しい印にしようって。でも、もしもっと周りの人に頼ったら、もしかして彫りたいという気持ちも消えていくのかな…?という揺らぎがある。1ヶ月前まであんなに彫る気満々だったのに。私をちゃんと見てくれている人の存在に気づいた時、私はただその人に伝える言葉を美しく彩れば、その人はその瞬間の私の色をわかってくれて、私の肌なんてどうでもいいんだろうなって。
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