オトマイム

バルタザールどこへ行くのオトマイムのレビュー・感想・評価

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)
4.5
なんと美しい映画なのだ。そしてなんて可愛いの、バルタザール。私もロバを飼いたい。画面の隅から遠慮がちに現れる耳、マリーのしなやかな指で撫でられる時の表情、すべてを赦すかのような哀しみを帯びた哲学的な瞳。

まだあどけなさの残るアンヌ・ヴィアゼムスキーだけが唯一みずみずしく華を添える。話はひとかけらの救いもなく画は夢のように美しい。羊の群れに囲まれるシーンの神々しさといったら。ブレッソンの意のままに荒れ野原に放り出された気持ちになり、自分で自分を抱きしめ魂のある場所を認識する。

美しいピアノの旋律が繰り返し流れる。調べたらシューベルトのピアノソナタ20番第2楽章。余韻に浸る為に今日はこれを聴いて眠りに就きます。