常盤しのぶ

デビルマンの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

デビルマン(2004年製作の映画)
1.5
私は普段アナログで映画ノートを書いている。B5サイズのノートで、ページの上半分に鑑賞日等の情報、下半分に感想を書いている。そこで書いた感想をFilmarksに適宜追記しながら転記している。そしてその映画ノート1冊目が前回のハーモニーで満了となり、本作が映画ノート2冊目の第一作目となる。……本当に本作で良かったのだろうか。まぁいいや。

言わずと知れた怪作。これを観ずして実写版を語るなかれ、とまでは言われないだろうが、国産実写版の代表みたいなツラをしてしばしば名前が挙げられる。『CGに凝りすぎて他がおざなりになっている』とか『突入する部屋に対してモブの数がえげつないほど多い』とか『え、弁当にイガグリ?』などなど理由は色々ある。しかしなんと言っても最大の要因は『主要キャストの絶望的な演技力の低さ』にある。

主人公である不動明役の伊崎央登は特に酷い。あまりの棒読みっぷりに感情がつかめず『デーモンに合体された状態の心理描写か?』と思ってしまうほどだ。うちで飼っているインコのミントちゃんの方が感情表現が豊かである。そう、この『デーモンに合体された』という日本語もどうなんだ。もう少し、こう、あるだろう。『取り憑かれた』とか『融合してしまった』とか。だのに、『合体された』!? 巨大ロボにでもなるおつもりなのかしら。

棒読みに話を戻すが(戻したくないが)、一番面白かったのが牧村父の職場(麦畑だったかな?)で、うっかりデビルマンであるとバレてしまったシーン。明くんいきなり天に向かって『あぁ^~~~』なんて吠えるから何事かと思っちゃったよ。家の鍵閉め忘れちゃった? 観たい番組の録画予約忘れちゃった? くらいのテンション。大事な人の死体を見た時も同じリアクションである。そこはリフレインしなくていいのよ。

そんな主人公だけでもツッコミ所満載な本作だが、それ以外の登場人物も面白い。地元のコスプレ大会で変な気合を入れっちゃったようなファッションの冨永愛、日本の報道番組なのに英語で喋るボブ・サップ、『デーモンバンザーイ!!』と叫び蜂の巣にされる小錦、なんかいるきたろう等々、枚挙にいとまがない。妙に豪華なのもまた面白い。

本作の登場人物の中で演技が一番上手いと思ったのがパパ大好きのガキ。(あの大惨事を)物語の最後まで生き延びたガキ、流石である。ちなみに十数年後に麒麟がくるで織田信長を演じるのだからまたすごい。あの得体の知れない信長は私も大好きである。

ボロカス言ってしまったが、好きな部分もある。CGの全身グリーンなデビルマンは造形も動きもかっこよくて好き。『本当の悪魔は人間のあんたたちよ!!』のセリフも、そうやなと思って楽しめた。逆に言ってしまえば、それ以外思い当たらないのだが……。