ぬーこ

戒厳令のぬーこのレビュー・感想・評価

戒厳令(1973年製作の映画)
3.3
監督 吉田喜重
脚本 別所実
主演 三國連太郎

戒厳令だよ。10自分で数えたんだよ。その行為をより厳粛なものにするために自分で10数えたんだよ。

浅学で北一輝が天皇制批判と社会主義の要素を含んでいたことを知らなかった。2.26事件の思想的指導者だから右翼の急先鋒と思っていた。だから2.26で真っ先に殺されたのかと思った。ただこの思想に若い将校が賛同していたことに驚愕だ。

時代のうねりと鬱屈感の中で、社会主義、軍国主義、天皇制そして何より現状打破が行動となって顕われる。
国に対する一人一人の執着が今と次元が違う。国と国民は一蓮托生。現代人にはわからない感覚がそこにはある。幕末から敗戦まで続いた日本主義の帰結。

終始、北一輝が反乱軍を率いていたのかどうか分からなかった。責任逃れの言動もあり、なんだかなぁ。
ただ扇動したとはいえ、青年将校らの行動は意図したものではなく、それを本意として話すのも嫌だったのではないか。

立場を追われた皇道派が統制派を凌ぐためにやったクーデター。それに思想的髪飾りとして使われた一輝。その解釈だとあまりに虚しい。

2022.52
ぬーこ

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