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カールじいさんの空飛ぶ家のteaのレビュー・感想・評価

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)
4.5
《たった1人の“あなた”と居る人生》
《“人生はあっという間” “普通の生活の中で夢は叶っていた” “お父さんありがとう”》

高校生の頃、金曜はサッカーチームの練習がなかったので、金曜ロードショーの時間を狙ってジムに行き、ランニングマシンで2時間走るということをよくしておりまして。汗拭くふりをして涙を拭きまくった思い出のある、文字通り汗と涙の映画です。
その時以来2回目の鑑賞でしたが、久しぶりでも泣ける、いや今の方が沁みる映画で、冒頭の10分間でハンカチがびしょびしょになりました。。

しかも今日(2023年8月4日)は一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)、天赦日(てんしゃび)、大安という縁起の良い日が3つ重なっている「最強の開運日」らしく、芸能人の結婚ラッシュ!!にこるんも結弦くんもご結婚おめでたい!😆より一層、“人生を一緒に歩いていくこと”について考えることができました。


何を果たすかよりも、誰と追うか、誰と生きるか。何かを成し遂げられなくても、毎日の中に幸せを見つけて、日々を大切に生きられたら、それだけで人生は素晴らしい。たった1人の“あなた”が居る人生を大切にできる。なんて尊くて素敵なのでしょう。


(以下、ネタバレ含みます⚠️)


でも、それこそ、これをランニングマシンの上で走りながら観ていた高校生の私は、出会った頃のエリーのように「いつかわたしがやること」で頭がいっぱいだったと思う。夢に向かって、苦しくても努力を続けたあの日々。あの時も楽しかったけれど、今だってすごく楽しい。「何者かにならなくてもいいんだ」、「何かを成し遂げなくてもいいんだ。」今はそんな風に思う。こんなふうに考えが変わったのはいつからだろう。

それは、夢を諦めたとき、ではなかったと思う。
新しい夢ができたとき、だったと思う。
夢をもつことは自分を大切にすることに繋がるかもしれない。だからエリーも空白にしていた「いつかわたしがやること」のページに、カールと出会い、結婚してからの写真の後に、『楽しかったわ。ありがとう。新しい冒険を始めて!』と書き残したのではないか。
エリーの夢を諦めさせてしまったと引け目に感じているカールじいさんに、「私の夢はあなたとの日々にあった」ということ、そして私が居なくなっても生き生きと新たな夢を持って大切に過ごしてほしいという願いが込められている。


たしかに「その人生もあったなあ」って思う人生の別れ道はここまでもあったし、この先もあると思う。でも、カールじいさんとエリーのように、
毎日に幸せを感じて大切に生きられたら。
思い出を大切にして歳を重ねていけたら。
その時その時の夢を持って生きていけたら。
いい人生だったなあって思えるんじゃないかな。

p.s.
鑑賞後、父とこの映画について話した。
「エリーとカールの出会いから1人になっちゃうまでの冒頭10分間凄いよね。素敵な人生がぎゅぎゅっと10分に収まっちゃうんだねえ。」と私が言うと、
「そうなんだよねえ。人生ってあっという間なんだよねえ。」と父が言った。

「あの、エリーの夢を叶えられてあげられないんじゃないかってハッとした時のカールじいさんの表情、胸がギュッとなるよね。それがあっての、終盤のアルバムに続きがあった!っていう感動に繋がるよね!」
「そうだね。(エリーにとって)夢は叶ってたっていうことだね。」

“人生はあっという間”
“普通の生活の中で夢は叶っていた”
父親からこの言葉を聞くと、私たち子どもが、小さかった頃から巣立っていくまでの日々がいかにあっという間だったのか、でもその日々がどんなにキラキラしていたか、じわぁっと伝わってきて、危うく泣きそうになりました。笑
お父さんありがとうね。


2023年 37作目
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