tea

オッペンハイマーのteaのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
《時代とはあなただ》

まず、あっという間に感じた3時間。
内容が難しかったから、私の解釈が合っているのかあんまり自信がない。笑
唯一確信をもって言える1番の感想は、”戦争は人をバグらせる“ということ。
愛国心に洗脳されたやらなきゃやられる世界において、道徳的に正しい判断は無理だ。
「人はそれぞれ正義があって、争いあうのは仕方ないのかもしれない。だけど僕の嫌いな彼も彼なりの理由があると思うんだ。」
→「だとしても、人を殺すことは間違っているよね、」という現代で通じる理屈は残念だが通らない。沢山の犠牲者が予想されても、戦争が終わり、これ以上祖国の戦死者が増えなければそれでハッピーなのだ。

トリニティ実験の爆発の光。時差でくる音と振動の凄まじさ。あれを観た時、涙がつつーっと流れた。
これを落とされたのが日本だから。ではないと思う。「地球に、人を大勢殺す為のこんなにも恐ろしい爆弾が生まれてしまった」という涙だ。
落とした先にある、貧しくても耐え凌いで生きる人々。この世界の片隅に、生きる人々を想像できない、人間の愚かさ。
二度と戦争は起こって欲しくない。
想像力と広い視野、そして思いやり。
力のある人ほど、それを大事にしなければならない。
そして力のある人、というのは沢山の支持を得ている人とほぼ同義だと思う。
つまり、道徳的な価値観を世界的に広めていくことで戦争は起こらなくなる。。はずだ。

オッペンハイマーから脱線してしまったので少し戻そう。笑
時代に翻弄された有能な科学者。
湖の畔のアインシュタインとの会話。
天才が故の苦悩。
「おめでとうと肩を叩き、握手を求めるのは成功者を称える為じゃない。彼ら自身の為だ。」
彼ら自身の利益となれば彼らは喜び、それが悪だと世間が批判すれば肩を叩いていた手は“お前の責任だ”に変わる。

天才をよく使うも悪く使うも時代だ。
時代がいいものを求めていかなければならないと思った。
そして時代とは、私であり、あなたでもある。

2024年 (投稿)4作目
tea

tea