皿鉢小鉢てんりしんり

ある日どこかでの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

ある日どこかで(1980年製作の映画)
4.0
キスシーンがあまりにも素晴らしい。
首を絞めるのと同じぐらいの密度で迫るようなクリストファーリーヴ、ゆっくりと抗えなくなっていくジェーン・シーモア。なんの捻りもなくストレートに撮ってるだけで、ここまでロマンティックなキスシーンは見たことがない。スターの力なのだろうか……

出会のシーンの、クリストファーリーヴの後ろの窓がブラインドを降ろすことでヒロインの姿が反射するっていう演出、普通に見事でヤノット、ちょっとできるなぁと思った。

写真についての脚本も素晴らしくて、絵や写真に叶わぬ恋をしてしまうというのは非常に多い題材だが、あれが自分に微笑みかけた瞬間に撮られたものだったことがわかるって、そんな狂おしいことあるか……
許されない恋を描くのがメロドラマなわけだが、永遠の別れのきっかけが、ただの自分の不注意っていうのがめちゃくちゃいたたまれない。悔やんでも悔やみきれないという主人公の気持ちに完全に同調してしまう。今風の映画だったら、あそこからワンスアゲインで何かやる展開が加わるんだろうけど、別に映画ってそうじゃなくても良いのです。

ボール遊びを注意されたガキが、隅っこでボールの上に座って小さくなってるのとかもいちいち愛らしい。
アーサーの家に走って行くシーンで、サラッと柵を乗り越えるのを撮ってて、主人公の焦りが自然に伝わるような工夫を入れてたり、やっぱりヤノットちょっとできるなぁと思った。