サンヨンイチ

告白のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
3.4
30分近い松たか子の独壇場シークエンスは
中学校のクラスの喧騒と
それを気にも留めずつらつらと述べる冷淡さが
モノクロな世界観を醸し出す。
時が止まってしまったものと、
時が倍速のように駆け抜けていく中学生特有の
無敵モードのような煌びやかさが対照的で皮肉だ。

この独壇場で心をつかまれるが
ゾッとする短編作品のような展開で
観る側を路頭に迷わせたかと思うと、
登場人物一人一人の告白が始まる。
それぞれの思惑と裏側の思想が吐露されてゆくが、
共感できないサイコ的な心情と、
共感できる中学生らしさが
混ざり合ったエピソードは
徐々に作品全体の気味悪さを増幅させている。

「いやミス」の女王・湊かなえの
真骨頂ともいうべき後味の悪さが印象的で
若い役者たちのトラウマになっていないか心配になるほど、
加害者側としても被害者側としても
目を背けたくなる嫌な映画であった。